オープンアドレス法(Open Addressing)は、ハッシュテーブルにおける衝突回避手法の一つであり、衝突が発生した場合に、他の空いているアドレスにデータを格納する方法です。
連鎖法(Chaining)とは異なり、ハッシュテーブル内にデータを直接格納するため、追加のメモリ領域を必要としない点が特徴です。
オープンアドレス法の仕組み
オープンアドレス法では、衝突が発生した場合、以下のいずれかの方法で空きアドレスを探索します。
- 線形探索法(Linear Probing):
- 衝突が発生したアドレスから順番に空きアドレスを探します。
- 実装が容易ですが、クラスタリング(特定のアドレスにデータが集中する現象)が発生しやすいという欠点があります。
- 二次探索法(Quadratic Probing):
- 衝突が発生したアドレスから二次関数的に離れたアドレスを探します。
- 線形探索法よりもクラスタリングが発生しにくいですが、テーブルサイズが素数でない場合、空きアドレスが見つからない可能性があります。
- ダブルハッシュ法(Double Hashing):
- 2つのハッシュ関数を使用し、衝突が発生した場合、2番目のハッシュ関数の結果に基づいて空きアドレスを探します。
- クラスタリングが発生しにくく、効率的な探索が可能ですが、2つのハッシュ関数を適切に選択する必要があります。
オープンアドレス法の利点と欠点
利点
- 追加のメモリ領域を必要としないため、メモリ効率が良い。
- 連鎖法と比較して、キャッシュヒット率が高くなる傾向があります。
欠点
- ハッシュテーブルが満杯に近づくと、性能が著しく低下します。
- 削除処理が複雑になります。
- クラスタリングが発生する可能性があります。
オープンアドレス法の応用例
オープンアドレス法は、以下のような場面で利用されます。
- メモリ使用量が限られている環境
- キャッシュヒット率を重視するアプリケーション
- 比較的小規模なハッシュテーブル
オープンアドレス法は、ハッシュテーブルにおける衝突回避手法の一つであり、メモリ効率が良いという利点がありますが、クラスタリングや削除処理の複雑さなどの欠点も持ち合わせています。適切な探索方法を選択し、ハッシュテーブルのサイズを適切に管理することで、効率的なデータ管理を実現できます。