状態遷移図とは、システムやオブジェクトの状態が、ある条件やイベントによってどのように変化していくかを視覚的に表現した図のことです。UML(統一モデリング言語)ではステートマシン図とも呼ばれます。
システムやオブジェクトは、常に特定の状態(ステート)を持ちます。例えば、電源ボタンの状態は「オン」または「オフ」のいずれかです。そして、あるイベント(例えば、ボタンを押す)が発生すると、状態が変化します(「オフ」から「オン」へ)。状態遷移図は、このような状態の変化を図式化することで、システムの振る舞いを分かりやすく表現します。
状態遷移図の構成要素
- 状態: システムやオブジェクトが取りうる状態を表します。円または丸みを帯びた長方形で表現し、状態名を記述します。
- 遷移: 状態の変化を表す矢印です。遷移を引き起こすイベントと、遷移に伴うアクションを記述します。
- 開始状態: システムやオブジェクトの初期状態を表します。黒丸で表現します。
- 終了状態: システムやオブジェクトの最終状態を表します。黒丸の中に白い黒丸を重ねて表現します。 ガード条件: 遷移が起こるための条件を記述します。
- アクション: 遷移に伴って実行される処理を記述します。
状態遷移図のメリット
- システムの振る舞いを分かりやすく表現: 状態の変化を視覚的に表現することで、システムの振る舞いを理解しやすくなります。
- 設計の明確化: システムの設計段階で、状態遷移図を作成することで、設計の漏れや矛盾を防ぐことができます。
- コミュニケーションの促進: 開発者間や開発者とユーザー間で、システムの振る舞いについて共通の理解を形成することができます。
- テストケース作成: 状態遷移図を基に、テストケースを作成することができます。
状態遷移図は、システムやオブジェクトの状態変化を視覚的に表現することで、システムの振る舞いを分かりやすく表現するUMLの図です。システム設計、コミュニケーション、テストなど、様々な場面で活用することができます。