自己符号化器(Autoencoder)は、ニューラルネットワークの一種であり、入力データを圧縮し、その後元のデータに復元することを学習するモデルです。教師なし学習に分類され、データの次元削減、特徴抽出、ノイズ除去などに利用されます。
自己符号化器の構造
自己符号化器は、主に以下の2つの部分から構成されます。
- エンコーダ(Encoder):入力データを低次元の潜在表現に圧縮するネットワーク
- デコーダ(Decoder):潜在表現から元のデータを復元するネットワーク
自己符号化器は、入力データと出力データが同じになるように学習を行います。つまり、入力データをエンコーダで圧縮し、デコーダで復元した際に、元のデータとできるだけ近いデータが得られるように、エンコーダとデコーダのパラメータを調整します。
自己符号化器の仕組み
自己符号化器の学習は、以下の手順で行われます。
- 入力データをエンコーダに入力し、潜在表現を取得します。
- 潜在表現をデコーダに入力し、復元されたデータを取得します。
- 入力データと復元されたデータの誤差を計算します。
- 誤差を最小化するように、エンコーダとデコーダのパラメータを更新します。
このプロセスを繰り返すことで、自己符号化器は入力データを効率的に圧縮し、復元する方法を学習します。
自己符号化器の利用例
自己符号化器は、様々な分野で応用されています。
- 次元削減:高次元のデータを低次元の潜在表現に変換することで、データの可視化や効率的な処理が可能になります。
- 特徴抽出:データの本質的な特徴を潜在表現として抽出することで、機械学習の性能向上に貢献します。
- ノイズ除去:ノイズを含んだデータからノイズを除去し、クリーンなデータを復元することができます。
- 異常検知:正常なデータを学習した自己符号化器は、異常なデータに対して高い復元誤差を示すため、異常検知に利用できます。
- 画像生成:潜在表現を操作することで、新しい画像を生成することができます。
自己符号化器の種類
自己符号化器には、様々な種類が存在します。
- スパース自己符号化器(Sparse Autoencoder):潜在表現の要素をスパース(ほとんどの要素が0)にする制約を加えることで、より効率的な特徴抽出を可能にします。
- 変分自己符号化器(Variational Autoencoder):潜在表現に確率分布を導入することで、より柔軟なデータ生成を可能にします。
- 畳み込み自己符号化器(Convolutional Autoencoder):画像データの処理に特化した自己符号化器であり、畳み込みニューラルネットワークをエンコーダとデコーダに利用します。
自己符号化器は、データの圧縮と再構成を学習する強力なニューラルネットワークです。様々な応用が可能であり、機械学習やデータ分析において重要な役割を果たしています。


