全結合層(Fully Connected Layer)は、ニューラルネットワークにおける基本的な層の一つであり、前の層のすべてのニューロンと次の層のすべてのニューロンが結合している層を指します。この層は、主にニューラルネットワークの最終段階で使用され、画像認識、自然言語処理など、さまざまなタスクにおいて重要な役割を果たします。
全結合層の構造と仕組み
全結合層では、各ニューロンは前の層のすべてのニューロンからの入力を受け取り、それぞれに重みを掛け、バイアスを加えて活性化関数に通します。これにより、前の層で抽出された特徴量を統合し、最終的な出力へと変換します。
全結合層の重要な特徴は、その柔軟性にあります。各ニューロン間の結合にはそれぞれ異なる重みが割り当てられており、これらの重みを調整することで、ネットワークは入力データから複雑なパターンを学習できます。
全結合層の役割
全結合層は、ニューラルネットワークにおいて主に以下の役割を果たします。
全結合層の課題
全結合層は強力な層である一方で、いくつかの課題も抱えています。
- パラメータ数の増加: 入力層と出力層のニューロン数が大きい場合、結合数が膨大になり、パラメータ数が急激に増加します。これにより、過学習が発生しやすくなり、計算コストも増大します。
- 空間情報の損失: 画像などの空間的な構造を持つデータを扱う場合、全結合層に入力する際にデータを1次元に変換する必要があり、空間的な情報が失われる可能性があります。
全結合層の応用
全結合層は、様々なニューラルネットワークアーキテクチャにおいて利用されています。
- 画像認識: 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の最終層に全結合層が使用され、画像の特徴量から物体のカテゴリを識別します。
- 自然言語処理: 再帰型ニューラルネットワーク(RNN)やTransformerモデルの出力層に全結合層が使用され、テキストの分類や言語モデルの予測を行います。
- その他のタスク: 全結合層は、回帰、異常検知、強化学習など、幅広いタスクに応用されています。
全結合層は、ニューラルネットワークにおいて情報を統合し、最終的な出力を生成するために不可欠な要素です。その柔軟性と表現力の高さから、様々なタスクにおいて広く利用されています。


