カーディナリティ(Cardinality)とは、データ管理やデータベースの分野において、あるデータセットや特定の列(カラム)に含まれるユニーク(一意)な値の種類の多さ、またはその多様性の度合いを示す指標を指します。
カーディナリティが高いほどその列に含まれるユニークな値が多く、低いほどユニークな値が少ないことを意味します。
カーディナリティの基本的な概念
カーディナリティは、データの特性を理解し、データベースの設計、インデックスの最適化、クエリのパフォーマンスチューニング、データ分析など、様々な側面で重要な役割を果たします。
主な概念は以下の通りです。
- ユニークな値: 特定の列の中に、重複せずに存在する個々の異なる値のことです。
- 多様性の度合い: その列がどれだけ多くの異なる情報を含んでいるかを示します。
- 高カーディナリティ(High Cardinality): ユニークな値の数が非常に多い状態です。
- 例: ユーザーID、メールアドレス、電話番号、製品のシリアル番号、タイムスタンプ(ミリ秒単位)。
- これらの列は、個々のデータレコードを一意に識別できる可能性が高いです。
- 低カーディナリティ(Low Cardinality): ユニークな値の数が非常に少ない状態です。
- 例: 性別(男性、女性)、都道府県(少数のカテゴリ)、真偽値(True, False)、血液型(A, B, O, AB)。
- これらの列は、多くのデータレコードが同じ値を持つことになります。
- 基数(Cardinal Number): 数学的な文脈では、集合の要素の数を「基数」と呼びますが、データベースにおけるカーディナリティも同様に、ある列の取りうるユニークな値の総数を指すことが多いです。
カーディナリティがデータベースに与える影響
カーディナリティは、データベースのパフォーマンス、ストレージ、および設計に直接的な影響を与えます。
1. インデックスの有効性
データベースのインデックスは、特定の列の値を高速に検索するために使用されます。カーディナリティは、インデックスの効率に大きく影響します。
2. クエリのパフォーマンス
カーディナリティは、クエリの実行計画(Execution Plan)やパフォーマンスに影響を与えます。
3. ストレージとメモリ使用量
4. 統計情報の鮮度
データベースのクエリオプティマイザは、テーブルの統計情報(カーディナリティを含む)を利用して最適な実行計画を作成します。カーディナリティが変化しやすい列では、統計情報を定期的に更新することが重要です。
カーディナリティの種類
データ分析やデータベース設計において、カーディナリティはさらに具体的に分類されることがあります。
- カラムカーディナリティ(Column Cardinality): 上記で説明した、特定のカラム(列)に含まれるユニークな値の数です。
- リレーションシップカーディナリティ(Relationship Cardinality): リレーショナルデータベースにおけるテーブル間の関連性(リレーションシップ)の種類を示します。
- 1対1(One-to-One): 一つのレコードが、関連するテーブルの一つのレコードにのみ対応する。例: ユーザーとユーザーのプロフィール(詳細情報)。
- 1対多(One-to-Many): 一つのレコードが、関連するテーブルの複数のレコードに対応する。例: 顧客と注文。
- 多対多(Many-to-Many): 複数のレコードが、関連するテーブルの複数のレコードに対応する。例: 学生とコース。中間テーブルを介して表現されることが多い。
このリレーションシップカーディナリティは、データベースのスキーマ設計において、テーブル間の関係性をどのように構築するかを決定する上で非常に重要です。
カーディナリティの活用例
カーディナリティ(Cardinality)とは、データセットや特定の列に含まれるユニーク(一意)な値の種類の多さを示す指標です。ユニークな値が多い状態を「高カーディナリティ」、少ない状態を「低カーディナリティ」と呼びます。
この概念は、データベースのインデックスの有効性、クエリのパフォーマンス、ストレージ利用効率に直接的な影響を与えます。特に、高カーディナリティの列はインデックス作成に非常に有効である一方、低カーディナリティの列ではその効果が限定的になることがあります。
また、テーブル間の関連性を示す「リレーションシップカーディナリティ」も、データベース設計において重要な要素です。カーディナリティを理解し適切に活用することは、データベースの設計、最適化、クエリチューニング、そしてデータ分析を行う上で不可欠な知識となります。