クラス図とは、UML(統一モデリング言語)で定義されている図の一つで、システムを構成するクラスとその関係性を視覚的に表現するための図です。オブジェクト指向設計において、システムの静的な構造を把握し、クラス間の関連や依存関係を明確にするために用いられます。
クラス図の構成要素
- クラス: オブジェクトの設計図となる概念。クラス図では、長方形で表現し、クラス名、属性、操作を記述します。
- 属性: クラスが持つデータ(例:名前、年齢、住所)
- 操作: クラスが実行できる処理(例:データの登録、更新、削除)
- 関係: クラス間の関連性を表します。
- 関連: クラス間の一般的な関係を表す。
- 集約: 全体と部分の関係を表す(例:車とエンジン)。
- 合成: より強い全体と部分の関係を表す。部分が全体なしに存在できない関係(例:人間と心臓)。
- 継承: あるクラス(子クラス)が別のクラス(親クラス)の属性や操作を引き継ぐ関係。
- 依存: あるクラスが別のクラスに依存している関係。
- 多重度: クラス間の関連における、インスタンス(オブジェクト)の数の制約を表します。
- 例:「1」は1つ、「」は0個以上、「1..」は1個以上
クラス図のメリット
- システム構造の可視化: クラス図を用いることで、システムの構造を視覚的に理解することができます。
- 設計の明確化: クラス間の関係性を明確にすることで、設計の精度を高めることができます。
- コミュニケーションの促進: 開発者間で共通の認識を形成し、コミュニケーションを円滑にすることができます。
- コード生成: クラス図から、ソースコードを自動生成することができます。
- 保守性向上: システムの構造を把握しやすくなるため、保守性を向上させることができます。
クラス図は、オブジェクト指向設計において、システムの静的な構造を把握し、クラス間の関係性を明確にするために用いられる重要な図です。クラス図を活用することで、開発効率を高め、高品質なソフトウェアを開発することができます。