暗号とは、第三者に内容を知られないように情報を変換する技術のことです。情報の機密性、完全性、認証、否認防止といったセキュリティ要件を満たすために、現代の情報社会において不可欠な技術となっています。
暗号の基本概念
暗号化とは、平文(元の情報)を暗号文(変換後の情報)に変換するプロセスです。復号とは、暗号文を平文に戻すプロセスです。暗号化と復号には、鍵と呼ばれる情報が用いられます。鍵を知っている者だけが、暗号文を復号して平文を得ることができます。
暗号の目的
暗号の主な目的は、以下の4つです。
- 機密性: 許可された者以外に情報を秘匿すること
- 完全性: 情報が改ざんされていないことを保証すること
- 認証: 情報の送信者が正当な人物であることを確認すること
- 否認防止: 情報の送信者が後で送信した事実を否定できないようにすること
暗号の種類
暗号は、鍵の方式によって大きく2つに分類されます。
- 共通鍵暗号(秘密鍵暗号): 暗号化と復号に同じ鍵を用いる方式です。高速に処理できるというメリットがありますが、鍵の配送が課題となります。
- 公開鍵暗号: 暗号化と復号に異なる鍵を用いる方式です。鍵配送の問題を解決できますが、共通鍵暗号に比べて処理速度が遅いというデメリットがあります。
暗号の応用例
暗号は、私たちの日常生活の様々な場面で利用されています。
- インターネット通信(SSL/TLS)
- 電子メール(PGP/S/MIME)
- 電子署名
- キャッシュカードやクレジットカード
- スマートフォンやパソコンのログイン認証
- 仮想通貨(ブロックチェーン)
暗号の安全性
暗号の安全性は、鍵の長さや暗号アルゴリズムの強度によって異なります。現代の暗号技術は、スーパーコンピュータを用いても解読が困難なレベルの安全性を実現しています。しかし、技術の進歩や新たな攻撃手法の出現により、常に安全性が脅かされる可能性もあるため、定期的なアルゴリズムの見直しや鍵の更新が重要です。
暗号は、情報セキュリティの根幹をなす技術であり、私たちの安全な情報社会を支えています。適切な暗号技術の選択と運用により、情報の安全性を確保することが重要です。