エンティティ・バリューオブジェクト分析とは、ドメイン駆動設計(DDD)において、ドメイン(問題領域)における重要な概念をエンティティとバリューオブジェクトに分類し、それぞれの属性や関係性を分析する手法のことです。
エンティティとバリューオブジェクト
- エンティティ: 一意に識別可能なオブジェクトのこと。 例えば、ECサイトの「顧客」や「商品」は、それぞれ顧客IDや商品IDで一意に識別できます。エンティティは、時間経過とともに状態が変化しても、同一性(アイデンティティ)を保ち続けます。
- バリューオブジェクト: 値のみで識別されるオブジェクトのこと。 例えば、「金額」や「住所」は、その値だけで識別されます。バリューオブジェクトは、不変であり、一度作成されると変更されることはありません。
エンティティ・バリューオブジェクト分析の目的
- ドメインモデルの明確化: ドメインの概念をエンティティとバリューオブジェクトに分類することで、ドメインモデルをより明確に表現することができます。
- コードの品質向上: エンティティとバリューオブジェクトを適切に設計することで、コードの可読性、保守性、再利用性を向上させることができます。
- データの整合性確保: エンティティとバリューオブジェクトの特性を理解し、適切に扱うことで、データの整合性を確保することができます。
エンティティ・バリューオブジェクト分析の例
ECサイトを例に考えてみましょう。
- 顧客: 顧客ID、氏名、住所、メールアドレスなどの属性を持ちます。エンティティとして扱われます。
- 商品: 商品ID、商品名、価格、在庫数などの属性を持ちます。エンティティとして扱われます。
- 注文: 注文ID、注文日時、注文者(顧客)、注文商品(商品)、配送先住所などの属性を持ちます。エンティティとして扱われます。
- 金額: 金額は、値だけで識別されるため、バリューオブジェクトとして扱われます。
- 住所: 住所も、値だけで識別されるため、バリューオブジェクトとして扱われます。
エンティティ・バリューオブジェクト分析は、ドメイン駆動設計において、ドメインモデルを明確化し、コードの品質向上に役立つ重要な分析手法です。エンティティとバリューオブジェクトを適切に設計することで、より保守性・再利用性の高いソフトウェアを開発することができます。